タイムカプセル - 18
母は玄関を上がり、小さなキッチンを通り過ぎ、キッチンとリビング兼寝室の間にあるガラスドアをいきなり開けた。そこには、まだ着替え中の剛がいた。ジーンズは履いているものの、シャツを探しているところで、上半身はまだ裸だった。
これが母と剛の出会いになってしまった。
やばい。最悪。そう思ったけれど、もう遅かった。
「あなた誰なの?」
母が言った。
「大学のサークルの後輩よ。」
私が言った。
「そんなことを聞いているんじゃないわ。あなた誰なのよ?」
「桑戸剛と言います。亜沙美さんとお付き合いさせてもらっています。」
「お付き合いって・・・。」
母が絶句しながら、部屋を眺めていた。
一つだけ敷かれている布団。部屋が狭いので、リビング兼寝室にしていて、いつも布団を使っていた。ベッドを使うとその分狭くなるので、ベッドは使わないことにしていた。畳の上には、さっきまで二人で寝ていてくしゃくしゃになった布団が一式だけあって、ここに一緒に寝ていたと言うのが露骨に分かった。私だってまだパジャマのままだ。
「いいから、お母さん、とりあえず座って。」
私は布団の一部を折り曲げて、母が座るスペースを作った。そして、剛のシャツを探し出し、彼に無言で渡した。彼は慌ててシャツを着て、自分も畳の上に正座した。
布団を押し入れに仕舞うと、ローテーブルを部屋の真ん中に置いて、部屋の雰囲気は一気に寝室からリビングルームになった。そして、私も剛の横に座った。
「剛はね、大学の海外旅行サークルの一つ後輩なの。東京にいた時から付き合ってたのよ。今回、長崎に遊びに来てくれたのよ。黙っててごめん。」
私は母に説明した。
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